セメント瓦棟の積替え工事

セメント瓦棟の積替え工事の全工程の写真と説明です。

セメント瓦棟の積替え工事


現場の状況
  • 今回、ご依頼を受けたお客様は東京都練馬区練馬4丁目付近、閑静な住宅地でとても住みやすいところです。お客様も一人暮らしで近隣の方と大変仲良くされていて、ご近所の高齢の方に対して、洗濯物のお世話をしたり、裁縫が大変お上手な方ですので、ご近所の高齢者の方に手造りの風呂場の前に敷く、足ふきマットなどを作って差し上げたりされてるみたいです。
  • 建物は築年数が35年から40年くらいで屋根材はセメント瓦、外壁がサイディング張り(おそらくリフォームで張替え)、築年数と割と高台に建っているので基礎にはクラック・亀裂が入っていてとても危険な状態です。隣のお宅も空き家で築年数が50年くらいのようです。どうやら、隣の古い空き家があるので、なかなか、建て替えが、出来ないので、かといって、大幅なリフォームも二の足を踏んでる感じだと考えられてるようです。今回は、台風・大風で屋根が飛ばないか心配されていました。家が建ててある擁壁も3・11の地震でかなりクラックがはいってて、亀裂もかなり入ってました。本当は擁壁も補強した方がいいのですが・・・・。 (余談ですが擁壁の補強はクラックや亀裂部分にグライダーでカッターを入れてエポキシで補強しますが、タックダインを注入して、全体的にアラミド繊維で補強するのを勧めます。)
  • 点検の時に気を付けたのはセメント瓦ですから、足の踏み場を間違えればすぐに割れてしますので、重心のかけ方と足の置き場の細心の注意を払いました。それと、軒先は危険なので、出来るだけ歩かないように注意しながら点検作業も行いました。幸い、施主様がおっしゃるには、まだ大きな雨漏りはしてないらしく、屋根の頭頂部の棟瓦が一番気になるようなので、棟瓦の浮き具合と漆喰の剥離具合を確認しようと思います。それと、セメント瓦の損傷具合を十分、確認したいのと、北側の軒樋の損傷具合です。


セメント瓦の状態
セメント瓦の状態
セメント瓦の針金穴

  • 築年数が35年~40年で屋根材がセメント瓦ですから、正直、セメント瓦が割れないように慎重に登らないといけないです。
  • セメント瓦の表面を見るとザラザラして、塗装のやり頃をもうとっくに超えてるみたいです。
  • セメント瓦の棟瓦を固定してる針金が外れている。応急処置としては針金を設置する方法もありましたが、今回は既存の棟瓦を一時的に撤去、移設して南蛮漆喰を設置・詰めることにしました。
  • このままの状態ですと、台風で棟瓦が飛んだり雨水で漆喰が浸食して剥がれたりする原因なります。


既存の軒樋の傷み具合い
既存の軒樋の傷み具合い
既存の軒樋の傷み具合い(南側)
既存の軒樋の傷み具合い(北側)

  • 既存の軒樋(半月)が2014年(平成26年)、2月14日の大雪で軒樋が変形して大風で破損したものと考えられます。
  • 南側の半月が途中から破損してます。修理方法としては足場を組んで樋吊り金具から撤去して樋吊り金具を45,5センチ、ピッチに打ち替えて、新規半月樋を設置していきます。
  • もちろん、こういった場合、火災保険に加入していれば保険会社に①事故報告をいれる→②調査・見積もり→③鑑定→④工事といった手順で進めれば火災保険で修理費用を賄えるようです。
  • 北側の半月も大雪で変形してるみたいです。北側の半月は既存金具から交換しないといけないようですので、外部足場を掛けて工事しないといけないみたいです。ちなみに、既存の竪樋も経年劣化しているようですので、竪樋も新規交換したほうがよいと思われます。写真ではわかりづらいですが、豊吊り金具で設置してある破風の部分も長年の雨水で劣化してるみたいです。


既存棟の撤去
既存棟の撤去
既存棟の撤去(拡大)

  • 既存棟一時撤去状況です。下地にも、かなり雨水が浸み込んでる痕跡があるようです。既存の南蛮漆喰も長年の雨でかなり浸食・劣化しているみたいです。よーく見ると、元々の既存の瓦の色はグリーン(緑色)だったみたいです。
  • 瓦の下地材も雨水の浸食でかなり劣化しています。一般のお客様はあまり御存じないですが、雨水は100%瓦で防いでいるわけではなく、瓦の下地材で防いでる役割があります。ですから、よく雨漏りをしているお宅で瓦を差し替えたところで雨漏りが止まらないお宅もありますが、それは下地が傷み過ぎてて、下地が悪すぎて雨漏りしていたことがよくあります。
  • かろうじて、南蛮漆喰の跡が少し残ってます。
  • 余談ですが、ここまでセメント瓦が傷んでいると、もう高圧洗浄→塗装ではかなり厳しく、高圧洗浄した時点でセメント瓦が破損したりしますし、表面処理を高圧洗浄ではなく、ケレン掛けという方法もありますがケレン掛け塗装中にセメント瓦が何枚か割れたりする可能性があるので大変、困難だと考えられます。


新規南蛮漆喰
新規南蛮漆喰
水シャット

  • 新規南蛮漆喰(水シャット)(有)深谷配合粘土工業製の水シャット(黒)を使用しました。水シャットはモルタル並みの強度を保つ、屋根用南蛮漆喰シリコンを含む製品である為、水をはじく防水性(撥水性)に優れ、積雪地方まで対応、コテ離れがよく、施工しやすいです。地震や風雨に強く収縮率が低くひび割れしにくい、棟瓦との密着性がよいです。東京はさすがに冬場は気温がマイナスになることはまずないですが、寒暖差がかなり激しいですし、梅雨から秋にかけて、集中豪雨が増えてるような気がするので水シャットは最適な建材です。しかも、台風など多くなっているので、水シャットみたな南蛮漆喰はかなり適応性が高いと思われます。


完了

  • セメント瓦棟補修完了です。お客様も今回は限られた予算内でしっかりやってくれたと、大変喜んでおられました。これである程度、台風が来ても棟瓦は飛びませんが、ただ、中長期でみたら、セメント瓦を撤去→新規葺き替えにしたほうがよいと思われます。ただ、セメント瓦を葺き替えるにしても、外部足場、飛散防止シート、ステージがまず、いりますし、道路沿いですので、パワーユニック(既存セメント瓦を降ろしたり、新規瓦材を屋根の上にあげたり)を設置できれば、施工はかなりスムーズにいきそうです。ただ、留意点、注意点はセメント瓦なのでアスベストを含有してるため、廃材処分費が高額なのと、近隣の住民の皆さんや歩行者の方に、アスベスト、ホコリが飛散しないように配慮がかなり必要になってきます。ちなみに、余談ですが、屋根材はコロニアルクワットか金属屋根の横段ルーフをお勧めします。
  • 南蛮漆喰の仕上がりも丁寧で、光沢、色つやもかなりいい感じです。施工時、気を付けたことは、セメント瓦ですので出来るだけセメント瓦を割らないように、細心の注意を払って、撤去というより、とりわけました。でも、どうしてもこれだけ築年数が古いセメント瓦ですと、何枚か施工中、セメント瓦が割れるので、割れて復旧できない箇所は板金を加工して差し込みました。
  • もう少し早く依頼をいただいていれば、本来ならセメント瓦は外部足場設置して、飛散防止シート設置して、高圧洗浄で丁寧にセメント瓦の表面に付着している汚れを丁寧に落とせたと思います。今回使用したのはセメント瓦専用のマイルドシーラーEPOクリヤー(主剤)、マイルドシーラーEPO硬化剤の二液性です。浸透・固着性が高く、下地の補強効果に優れてます。強熔剤タイプと比較して臭気が低く、環境に優しい設計です。水分や炭酸ガスの侵入を防ぎ、セメントやコンクリートなど、中性化を防ぎます。旧塗膜との密着性に優れてます。二液型弱熔形エポキシシーラー、主要成分、特殊エポキシ樹脂、など使用してメンテナンスすれば比較的、全面葺き替えより安く費用を抑えることができます。
  • お客様は屋根に登れないので、逆にいうとお客様は自分の目では確認できないので、私たち施工業者は写真を丁寧に撮ってきてお客様に丁寧に説明するのが一番です。今回のお客様の大変喜んで下さいました。また、何かあったら、お願いねと言われました。
  • 一般的にお客様は家に住んでいらっしゃるので、家を修理する施工店をご存じなのかなと、我々、工務店は思いがちですが、そこは大間違いで、意外とご存知ないお客様が多いのかなと感じます。ただ、お客様の立場になって考えれば、初めて接する業者は心配なので、そこは我々施工業者がお客様の立場に立って、斟酌して、配慮しなければならいと思います。結構、長い付き合いをしていた工務店でも、一言や一行動で長年築いた、お客様との信頼関係が一気崩れる事があります。なかなか、施工店は現場を納めればいいとうことではなく、施工前からお客様に対する配慮、近隣住民の皆様に対する配慮などが必要です。私も先日、近隣の皆様に工事のお知らせをチラシを配布するのを怠ったことがあります。それはやはり、気の緩みというか慣れが起こさせたことです。幸い施主様がきちんと丁寧に対応してくださったので、事無きを得たのですが、そういったことから現場の緊張感が無くなるのできちんと対応しないといけないと思いました。

工事前
工事前1
工事前2

工事後
工事後1
工事後2


屋根塗装と外壁塗装を一緒にされた実例(東京都)



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